「もう猫の手も借りたいほど忙しい!」――そんなセリフ、聞いたことありませんか?この表現、何気なく使っているけれど、よく考えると「猫の手って、そんなに役立つの?」と不思議に思う方もいるかもしれません。今回は、このおなじみの慣用句について、やさしく紐解いていきます。
◆「猫の手も借りたい」ってどんな意味?
この言い回しは、「とにかく人手が足りなくて、誰でもいいから助けてほしい」と感じるほど忙しい状態を表す言葉です。普通なら役に立ちそうもない存在――ここでは“猫”に例えていますが――そんな存在の手でも欲しいほどの切迫感がこめられています。
つまり、「手が回らないほどの仕事量」と「余裕のなさ」を伝える、ちょっとユーモラスで、でも切実な表現なんですね。
◆なぜ“猫”なの?
では、なぜ犬でもなく、猿でもなく“猫”なのでしょうか?それは、猫が人間の手伝いをするイメージがあまりない動物だからだと考えられています。猫は自由気ままでマイペース。犬のように忠実に指示を聞いてくれるタイプではありません。
そんな「役に立たなさそう」な存在の猫ですら、手を貸してくれるならありがたい…という、忙しさの極限を表現しているわけです。
◆この表現の由来は?
この言い回しが広まったのは、江戸時代ごろとされています。当時から「猫」は人の役に立たない動物として描かれることが多く、その象徴的な存在でした。とはいえ、猫好きの方からすると少し可哀想な気もしますよね。
忙しさを誇張し、ちょっと笑いを誘うような言い回しとして、長年にわたって親しまれてきた背景があるのです。
◆今でも使われる表現?
もちろんです。ビジネスシーンや家庭の会話でも、「今日は猫の手も借りたいくらいだったよ」なんて自然に使われています。少し柔らかい印象になるので、ただ「忙しい」と言うよりも、聞き手にも親しみを持って受け取ってもらいやすい表現です。
◆使い方のポイント
この表現は、あくまで「忙しさをやや誇張して伝える」言葉なので、深刻な場面では不向きかもしれません。たとえば職場で冗談まじりに言う分にはピッタリですが、真剣な謝罪の場などでは避けたほうが無難です。
◆まとめ:ちょっと余裕のあるユーモア表現
「猫の手も借りたい」は、ただ忙しさを表すだけでなく、そこにちょっとしたユーモアや余裕も感じさせる表現です。「そんなに手が足りないのか!」と驚かれるかもしれませんが、どこか共感を呼ぶ言葉でもありますよね。
忙しい日が続くときこそ、こんな言葉で自分の気持ちを少し軽くしてみてはいかがでしょうか?