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なぜ「虫の居所が悪い」というの?怒りと虫の関係

誰かがイライラしているときに「今日は虫の居所が悪いみたいだね」と言うことがありますよね。でも、そもそもこの表現、なぜ“虫”が関係しているのでしょう?体の中に虫がいるイメージを持つと、少し不思議で気になる言い回しです。

今回は、「虫の居所が悪い」という表現がどうして怒りや機嫌の悪さを意味するようになったのか、その由来や意味をやさしくご紹介していきます。

◆「虫の居所が悪い」ってどういう意味?

この表現は、主に「その人が機嫌が悪い」「ちょっとしたことで怒る状態にある」といったときに使われます。つまり、いつもなら気にしないようなことで怒ったり、不機嫌になっていたりする時に「虫の居所が悪い」と表現するわけです。

たとえば、ちょっとした冗談にムッとされたときに「あ、今日は虫の居所が悪いのかも」と思うこともありますよね。

◆なぜ「虫」なの?

日本語において「虫」という言葉は、昔から人の心や感情と深く結びついていました。たとえば「虫の知らせ」「腹の虫が治まらない」など、心の動きを虫に例える言葉は意外と多いんです。

これは、古くからの東洋思想や民間信仰の影響を受けたもので、人の体には“虫”のような見えない存在が住んでいて、その虫が感情や体調に関係していると考えられていた時代があったからです。

◆「居所が悪い」とは?

「居所(いどころ)」とは、「居場所」や「いる場所」という意味。つまり、“虫の居所が悪い”とは、その人の体や心の中にいる“虫”が落ち着かない場所にいる=心がざわついている、という比喩表現なんですね。

虫がいつもいる場所とは違うところに行ってしまって不快になっている、あるいは騒いでいる……そんな状態が、怒りっぽさや不機嫌さをあらわしているのです。

◆昔の人の“感情の見え方”

現代のように医学や心理学が発展する前、人の感情や体調の変化は、“目に見えない何か”のせいで起こると考えられていました。その「何か」のひとつが“虫”だったのです。

特に怒りや不機嫌は、どこからともなく湧いてくるものとして扱われ、それを虫の動きに例えることで、感情を説明しようとした名残が今も言葉に残っているのです。

◆今では柔らかい言い回しに

現代では、この表現はどちらかというと冗談まじりで使われることが多く、「あ、今日は機嫌悪いのかな?」と相手にやさしく気を遣うニュアンスが含まれるようになりました。

怒っている本人に「虫の居所が悪いの?」と声をかけることで、少し空気を和らげたり、やさしく受け止めたりする言葉としても活躍しています。

◆まとめ:ことばの裏にある感性を感じよう

「虫の居所が悪い」という表現は、一見すると不思議な言い回しですが、昔の人の感性や言葉の使い方が見えてくる面白い一例でもあります。

何気なく使っている表現の奥には、昔の人が感じた“心の動き”が、虫という形で生きているのかもしれませんね。