会話の中で、「彼はずっとしらを切っていたよ」なんて聞いたことはありませんか?この表現、なんとなく“とぼける”とか“知らないふりをする”という意味だと理解していても、「しら」って何?どうして「切る」の?と疑問に感じる方もいるかもしれません。
今回は、そんな身近な表現である「しらを切る」という言い回しにスポットを当てて、その意味や使い方、そして語源についてやさしく解説していきます。
◆「しらを切る」の意味とは?
この表現は、簡単に言うと「知っていることをあえて知らないふりをする」「関係ないと装う」といった態度を表す言い回しです。たとえば、悪戯をした本人がバレバレなのに「知らないよ」と言い張っているような場面。まさにそれが「しらを切る」行動なのです。
ビジネスや日常生活だけでなく、ドラマや小説のセリフでもよく登場します。実際には知っていることでも、責任を逃れるためや面倒ごとを避けるために使われることが多いですね。
◆気になる語源は?「しら」と「切る」の関係
「しらを切る」の「しら」は、古語の「しら(素)」が由来とされています。この「しら」とは、「無地」「飾り気のないもの」という意味を持ち、つまり「何も知らない素の状態」を表しています。
そこに「切る」という動詞がついて、「装う」「そう振る舞う」という意味合いになります。つまり、「知らないふりをする」「あくまで白を装って押し通す」というニュアンスが込められているわけです。
ちなみに、「白を切る」と漢字で表記されることもありますが、これは当て字であり、本来の語源とはやや異なります。言葉の響きから「白」と誤解されがちですが、実際には“色”とは関係ないんですね。
◆使い方の例文
- 彼がやったと分かっているのに、ずっとしらを切っていた。
- 先生に呼び出されても、彼女はしらを切り続けていた。
- 問い詰められた彼は、しらを切るしかなかったらしい。
いずれも、「知らないふりでごまかそうとする」ような場面で使われています。ただし、ユーモラスに使われることもあり、状況次第では深刻すぎずに済む表現でもあります。
◆類似表現と微妙なニュアンスの違い
「しらを切る」に似た表現として、「とぼける」「知らん顔をする」「知らぬ存ぜぬを貫く」などがあります。それぞれ意味は近いですが、微妙なニュアンスの違いがあります。
たとえば、「とぼける」はちょっとコミカルな印象も含まれることが多く、「しらを切る」はもう少し意図的な感じが強いイメージです。
◆まとめ:言葉の背景を知ると会話がもっと面白くなる
「しらを切る」という表現は、身近に使われている言葉でありながら、その語源には意外な歴史が隠されていました。私たちが普段使っている言葉の中には、このように古語や慣用句が形を変えて残っていることが多くあります。
言葉の由来を知ると、何気ない会話や文章の中にも深みを感じられるようになりますね。次に誰かが「しらを切ってるな〜」と言っていたら、「実は“白”とは関係ないんだよ」とちょっとした雑学として話してみてはいかがでしょうか?