日常会話でついつい口にしてしまう「めんどくさい」。
掃除、書類の提出、人づきあい……「あ〜、めんどくさい」と思った経験、誰しもありますよね。
でもこの言葉、よく考えてみるとちょっと不思議じゃありませんか?
「面倒」と「くさい」がくっついて「めんどくさい」になるなんて、一体どんな意味の変化があったのでしょう?
◆そもそも「面倒」とは?
「面倒(めんどう)」という言葉は、昔から日本語にある表現で、「手間がかかって煩わしいこと」「扱いがやっかいなこと」を指します。
たとえば、「面倒を見る」というと「世話をする」という意味になりますが、そこには「手間をかけて注意を払う」というニュアンスが含まれています。
◆「くさい」は“におい”だけじゃない?
「くさい」というと、まず思い浮かぶのは「におい」かもしれませんが、実は古語では「〜っぽい」「〜のようだ」といった意味合いで使われていました。
たとえば「小賢しいくさい(こざかしいくさい)」は「小賢しいような」といった意味。
現代でも「芝居くさい」「男くさい」などといった使い方をしますよね。
◆「面倒くさい」は“面倒な感じがする”という意味だった
つまり、「面倒くさい」とは「面倒なようだ」「面倒っぽい」という表現。
「これは実際に面倒だ」よりも一歩引いて、「なんか面倒に感じるな〜」というニュアンスだったのです。
この表現が広がることで、「面倒くさい」は感覚的な言葉として定着していきました。
◆「めんどくさい」は口語で崩れた形
もともとの「面倒くさい」は丁寧な言い方ですが、会話の中ではどんどん発音が省略され、「めんどくさい」に変化しました。
これは「すごい」が「すげー」になったり、「ありがとう」が「ありがと」になるのと同じく、自然な言語の流れです。
◆「めんどくさい」には感情がこもる
「面倒だなあ」と言うより、「めんどくさい!」と言った方が、なんとなく感情がこもって聞こえませんか?
この言葉は、少し投げやりで、でも正直で、肩の力が抜けた気持ちを表現するのにぴったりなんです。
◆まとめ:「めんどくさい」は私たちの“本音”を映す言葉
「めんどくさい」は、「面倒」と「〜っぽい」を表す「くさい」が組み合わさってできた表現で、
単なる形容ではなく、私たちのちょっとした感情の揺らぎを映し出しています。
思わず口にしてしまうこの言葉には、「やりたくないなぁ」「気が重いなぁ」というリアルな気持ちが込められているんですね。
もし今日、何かを「めんどくさい」と感じたら、ちょっとだけその理由を自分に問いかけてみるのもいいかもしれません。
言葉の裏にある気持ちに気づくことで、少し楽になれることもあるはずです。