「このケーキ、やばいくらい美味しい!」
「寝坊した、やばい…!」
どちらの使い方も耳にしたことがあるのではないでしょうか?
今では当たり前のように、良いことにも悪いことにも使われるこの言葉。
でも、もともとの「やばい」は、まったく違うニュアンスを持っていたことをご存じですか?
◆ 昔の「やばい」は危険信号だった
「やばい」は、もともと江戸時代の盗賊や職人たちが使っていた隠語のひとつとされています。
当時は、「警察(役人)に見つかりそう」「危険な状況だ」といった意味合いで使われていたのです。
つまり、「やばい=やばい状況」という、本当にネガティブな意味だったんですね。
◆ 時代とともに少しずつ意味が変化
その後、若者を中心に「やばい」が口語表現として広まりました。
1990年代頃からは、単に「危ない」「不味い」という意味に加えて、感情が高まったときに使うようにもなっていきます。
たとえば、「このアーティストのライブ、やばい!」というように、「すごい」「感動した」というポジティブな意味での使用が登場しました。
◆ 今では万能ワードに進化
現代では、「やばい」は状況に応じて良い意味にも悪い意味にも使える、非常に柔軟な言葉になっています。
- 嬉しいとき:「プレゼントもらった!やばい!」
- 焦ったとき:「レポート締め切り今日だった…やばい」
- 驚いたとき:「この映画のラスト、やばすぎる」
このように、文脈や話し手のトーンによって、受け取る側の印象も変わってくるのが特徴です。
◆ 言葉の「意味の変化」は自然なこと
言葉の意味が時代とともに変化するのは、決して珍しいことではありません。
たとえば、「すごい」「超」などの形容詞や副詞も、本来の意味とは異なる使い方が広まり、現代語として定着しています。
「やばい」もそのひとつで、若者文化の中で自由に使われることで、意味の幅がぐっと広がったといえます。
◆ まとめ:使い方に少しだけ気をつけたい場面も
今や「やばい」は、日本語の中でもトップクラスの感情表現ツールになっています。
ただし、目上の人やフォーマルな場では、意味が曖昧になりやすいため注意が必要です。
「やばい」のもともとの意味を知ることで、言葉の面白さや奥深さを感じられるかもしれませんね。
あなたも次に「やばい」と言うとき、その変化の歴史にちょっとだけ思いを巡らせてみてはいかがでしょうか?