新年になると、友人や家族との会話やメッセージで飛び交う「あけおめ!」。すっかり定番の挨拶となりましたが、「明けましておめでとうございます」の略というのは分かっても、実際にいつ頃から使われ始めたのかご存じでしょうか?今回は「あけおめ」の歴史と、背景にある日本の略語文化について解説します。
「あけおめ」の意味と由来
「あけおめ」は「明けましておめでとうございます」を省略した言い方です。
略語として広く使われるようになったのは、1980年代後半〜1990年代にかけて。若者文化やテレビ番組、雑誌などの影響を受けて、まずは若者の間で広がりました。当初はややふざけた軽いニュアンスを持っていましたが、徐々に「カジュアルな年始挨拶」として一般的に定着していったのです。
いつから一般的に使われるようになった?
明確な初出は定かではありませんが、1990年代の流行語や若者言葉をまとめた書籍や雑誌に「あけおめ」の記録が残っています。2000年代に入ると携帯メールの普及、さらに2010年代以降はSNSやLINEの利用拡大によって、短く手軽に送れる「あけおめ」が爆発的に広まりました。今では年齢層を問わず、広く親しまれる表現になっています。
「ことよろ」とセットで使われる理由
「あけおめ」といえば、「ことよろ(ことしもよろしく)」とセットで使うことが多いですよね。
この表現も同じ略語文化の一つで、仲間内での軽いやり取りに適したフレーズです。ただし、目上の人やフォーマルな場面では避け、あくまで親しい人同士の会話で使うのが望ましいでしょう。
日本語に根づく「略語文化」
日本語では古くから「手間を省いて伝える」習慣があり、略語は時代ごとに生まれてきました。近年では「ありがとう」→「あざす」、「おつかれさま」→「おつ」のように、短く言いやすい形が若者を中心に浸透しています。
「あけおめ」もその一例で、スピーディーなやり取りや仲間意識を強めるために自然と使われるようになりました。
現代における「あけおめ」の使い方
LINEやTwitter、InstagramなどSNSの普及で、「あけおめ」はさらに日常的に使われるようになりました。短文でテンポよく送れるため、新年の挨拶として便利に使われています。
一方で、ビジネスメールやフォーマルな挨拶では「明けましておめでとうございます」を使うのが基本です。TPOを意識して使い分けることが大切ですね。
まとめ:「あけおめ」は時代を映す言葉
「あけおめ」は単なる略語ではなく、1980年代以降の若者文化、2000年代のメール文化、そしてSNS時代を経て広まった、日本語の変化を象徴する表現です。
今や誰もが自然に使う「あけおめ」ですが、その背景には「便利さ」「親しみやすさ」「仲間意識」といった時代の空気が反映されています。
言葉は常に変化するもの。略語の中にも、私たちのコミュニケーションの工夫が息づいているのです。