時代劇でおなじみのセリフ「御用だ、御用だ!」。捕物帳やドラマでは定番のフレーズですが、実際の江戸時代でも本当にこんなふうに叫ばれていたのでしょうか?
この記事では、「御用」の本来の意味から、江戸時代における使われ方、そして現代に残る言葉の名残まで、わかりやすく解説します。
「御用」とはどういう意味?
「御用」とは、もともと幕府や藩から出される公的な命令や仕事を指す言葉です。「御用商人」「御用聞き」といった表現にも見られるように、“お上からの任務”というニュアンスを含みます。
町奉行所の役人が罪人を捕える行動も「御用」にあたり、捕物の際に叫ばれる「御用だ!」には「これは公的な取り締まりだ、手出しするな」という意味が込められていました。
江戸時代で本当に「御用だ!」と叫ばれていた?
文献によると、「御用だ!」という言葉は実際に江戸時代の捕物で使用されていました。
町奉行所の与力や同心、岡っ引きが犯人を取り押さえる際、通行人に知らせたり混乱を防ぐために「御用だ、道をあけろ!」と声をあげていたとされています。
現代で言えば「警察だ!」に近い表現です。
なぜ「御用だ!」と断定口調なのか
「御用です」ではなく「御用だ!」と断定口調が使われたのは、緊急性と公権力を強調するためでした。力強い言い回しによって周囲に権威を示し、犯人の逃走や抵抗を防ぐ効果があったと考えられています。
関連する表現:「御用になる」「お縄を頂戴する」
江戸時代には、捕らえられることを「御用になる」と表現しました。現代でも「御用となった」という言い方が残っています。
また、「お縄を頂戴する」も同じく捕縛を意味する表現で、丁寧ながら皮肉を込めた言い回しでした。
現代に残る「御用」のイメージ
現在でも「御用」と聞くと「逮捕」や「捕まる」といったイメージを持つ人が多いでしょう。これは時代劇や刑事ドラマの影響が大きいと考えられます。
一方で、「御用商人」「御用聞き」といった表現はあまり使われなくなりましたが、日本語の中には「お上との関係性」を示す名残として残っています。
まとめ:「御用だ!」が映す江戸の世相
「御用だ!」という言葉は、単なる時代劇の決まり文句ではなく、実際に江戸時代の捕物現場で使われていた表現でした。その背景には、公権力の象徴として人々に秩序を示す役割があったのです。
時代劇を観るとき、この言葉の歴史的な意味を知っていると、セリフの響きがより深く感じられるかもしれません。