ある夏の夜、波打ち際がまるで星空のように青く光っていたら…。そんな幻想的な光景に出会ったことはありますか?それは「夜光虫(やこうちゅう)」によって引き起こされる、自然が生んだ不思議な光のショーです。
夜の海が光る理由

一見、海の中からライトを当てているかのようにも見えるこの現象。でも実は、ある小さな生き物たちが原因なのです。それが「夜光虫」と呼ばれるプランクトンの仲間。普段は目に見えないほど小さいですが、夜になるとその存在を強く感じさせてくれる存在なんです。
どんな生き物なの?
夜光虫は主に海に生息する微生物で、多くは植物プランクトンや動物プランクトンの一種。とても小さくて、肉眼ではなかなか確認できませんが、波や船の動き、人の手が水をかいた瞬間など、何らかの刺激を受けると、青白い光を放つという性質を持っています。
なぜ光るのか?
この光には「生物発光」と呼ばれるメカニズムが関係しています。外部から刺激を受けると、夜光虫の体内で化学反応が起こり、それが光として放出されるのです。イカやホタルなどと同じように、自らの体で光を生み出しているのですね。
青く見えるのはなぜ?
夜光虫が放つ光は、青〜青白い色がほとんどです。これは、海水という環境において、青色の光が最も遠くまで届きやすいためだと言われています。そのため、夜の浜辺に広がるその輝きは、まるで海自体が光っているかのように感じられるのです。
どこで見られるの?
この美しい現象は、世界中の温暖な沿岸部で観察されることがあります。日本では、沖縄の海辺や瀬戸内海の一部、湘南や伊豆の海でも見られることがあります。ただし、夜光虫が大量発生している時期や、波が穏やかで風が少ない夜など、条件が整わないと見ることは難しいかもしれません。
夜光虫は「害」なの?
あまりにも幻想的なので、「体に害はないのかな?」と心配になる方もいるかもしれません。基本的には夜光虫は無害です。ただし、大量発生すると赤潮の原因になることもあり、その場合は魚に悪影響を与えることがあります。
自然のアートに出会えたら
もし運良く、夜の海で夜光虫の光に出会えたら、それはまさに一期一会の体験。自然がつくり出す儚くも美しいアートを、心に刻んでみてはいかがでしょうか。
スマホのカメラではなかなかうまく撮れないかもしれませんが、その分、目に焼き付けることに集中してみるのもおすすめです。
まとめ
夜に光る海の秘密は、実は目に見えない小さな生き物たちの働きによるもの。夏の夜、ひっそりと輝くその青い光は、きっと日常の中に小さな感動を与えてくれるはずです。