sassatimes

「よろしくお願いします」の“よろしく”って具体的に何?

仕事のメールや初対面のあいさつ、ちょっとしたお願いごとまで——私たちが日常的に使っている「よろしくお願いします」という言葉。
でも、ふと立ち止まって考えてみると、「よろしく」って具体的にどんな意味なんでしょうか?

今回は、「よろしくお願いします」の“よろしく”に込められた意味を、やさしくひもといてみたいと思います。

◆「よろしく」は「良く」の丁寧な表現だった

「よろしく」は、もともと「良く(よく)」という意味の言葉から派生しています。
つまり、「良いように」「好ましい状態に」という願いが込められているのです。

たとえば、「よろしくご対応ください」という場合には、「良い対応をお願いしますね」というニュアンスになります。

◆「お願いします」と組み合わさってできた言葉

「よろしく」に「お願いします」が続くことで、「あなたにとって都合の良い形でお願いしたい」という、丁寧な依頼表現になります。

日本語の特徴の一つである“あいまいさ”や“へりくだり”が反映されていて、相手の気持ちを尊重しつつお願いをする、いわば“思いやりの言葉”なのです。

◆具体的な意味は文脈によって変わる

「よろしくお願いします」はとても便利な言い回しで、実はさまざまなシチュエーションで使えます。

  • 初対面のあいさつ → 「今後のお付き合いを良い形でお願いします」
  • 仕事の依頼 → 「丁寧に対応してもらえるとうれしいです」
  • 別れ際のひと言 → 「またの機会も含めて、今後も良くしてね」

つまり、「よろしく」には明確な指示や依頼があるわけではなく、「うまくやってください」「期待しています」といった、やわらかなニュアンスが含まれているんですね。

◆なぜ日本人はこんなに「よろしく」を使うの?

日本の文化では、「直接的に言わない」「相手に配慮する」といった価値観が重視されます。
そのため、「よろしくお願いします」は、気を使いながらも丁寧に気持ちを伝えるための、非常に便利なフレーズとして広く浸透していったのです。

英語では “Nice to meet you” や “I appreciate it” のように、文脈によって表現が細かく分かれるのに対して、日本語では「よろしくお願いします」で幅広い場面をカバーできるのも面白い点です。

◆まとめ:「よろしく」は気持ちを預ける言葉

「よろしくお願いします」の“よろしく”は、実は「良いように」「丁寧に」といった思いを相手に託す言葉です。

言葉そのものはあいまいでも、そこには相手を思いやる心、そして信頼や期待が込められています。

次にこの言葉を使うときは、「ただの形式」ではなく、あなたの気持ちをやさしく込めてみてくださいね。