「のるかそるかの大勝負だった」「今回は、のるかそるかで決めてみよう」――そんなふうに、人生の分かれ道や、大きな決断の場面でよく耳にするこの表現。けれど、あらためて考えると「そる」って一体、どういう意味なのでしょう?
今回は、日常会話でもおなじみのこの言葉の背景について、わかりやすく紐解いてみましょう。
◆「のるかそるか」はどんな場面で使われる?
まず、「のるかそるか」は、うまくいくか、失敗するか――成功と失敗のどちらか一方しかないような、いわば“賭け”のような状況を表す言い回しです。
たとえば、思いきって転職するタイミング、あるいは新しいチャレンジを始めるとき。「やってみるしかない!のるかそるかだ」と自分を奮い立たせるときなどに、自然と口にしたくなる表現ですよね。
◆「のる」は“波に乗る”?
この言葉の前半にある「のる」は、「物事の流れに乗る」「タイミングをつかんで成功する」といった意味が込められていると考えられています。
船が波にうまく乗って前へ進むように、物事がスムーズに運ぶ状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。
◆では「そる」って何?
そして気になる後半の「そる」。この言葉には、「反る(そる)」「背ける」といった意味があります。
つまり、「のる」が“進む・成功する”という前向きなイメージに対して、「そる」は“離れる・背を向ける”という否定的な方向性を表しているんですね。
そのため、「のるかそるか」とは、前に進むか、それとも背を向けて失敗に終わるか――そんな両極端な結果のどちらかを意味する、緊張感のある言葉なのです。
◆もともとは博打用語だった?
この表現のルーツには、賭け事の世界が関係しているという説もあります。昔の博打では、一か八かの勝負をすることが多く、「賭けに乗る(参加する)」か「反る(参加をやめる・引く)」かという選択肢があったとか。
そうした場面で使われていた言葉が、いつしか日常生活にも広がっていったのかもしれませんね。
◆似たような表現には?
英語でいえば「sink or swim(沈むか泳ぐか)」が近い意味を持っています。他にも、「背水の陣」や「清水の舞台から飛び降りる」なども、似たニュアンスのある表現です。
いずれも、“後戻りできない覚悟をもって挑む”という強い決意が込められた言葉たちですね。
◆まとめ:自分の「のるかそるか」を大切に
「のるかそるか」という言葉には、単なる選択を超えて、自分の意志や覚悟が問われるような場面の重みが込められています。
もちろん、すべてを賭けるような選択ばかりが人生ではありません。でも、ここぞというときに、この言葉を思い出すことで、自分の気持ちに素直になれることもあるかもしれません。
次に「のるかそるか」と感じる瞬間がきたら、自分の“乗るべき波”をしっかり見極めてみてくださいね。