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「たたき上げ」はなぜ“たたく”?現場育ちを表す言葉の背景に迫る

「あの人はたたき上げの社長だ」「現場からのたたき上げで管理職に」——こんな風に耳にすることがあるこの言葉。どこか力強くて、苦労を乗り越えてきた人のイメージが湧いてきますよね。

でも、よく考えると「たたき上げ」ってなぜ“たたく”という表現が使われているのでしょう?少し強引にも思える言い回しには、どんな背景があるのでしょうか。

◆「たたき上げ」が使われる場面とは?

この言葉は、一般的に「現場経験を積みながら、段階を経て上の立場へと昇進した人」に対して使われます。学歴や肩書きではなく、実務経験で力をつけていった人への敬意や称賛がこもっていることが多いです。

たとえば、アルバイトから社員、そして店長や役員になったようなキャリアの人を紹介する場面でよく見かけます。

◆なぜ“たたく”?意味のルーツを探る

「たたき上げ」は、もともと職人の世界や武士の訓練のような厳しい現場をイメージさせる表現です。「たたく」という言葉には、物理的な衝撃を加えるだけでなく、厳しい修行や指導といった意味合いも含まれていたようです。

刀を鍛えるときに金槌で叩いて形を整えるように、人も現場で鍛えられて磨かれていく、というイメージから「たたき上げ」という言葉が生まれたとされています。

◆対比される言葉:「エリート」との違い

「たたき上げ」という言葉はしばしば「エリート」という言葉と対比的に使われることがあります。「エリート」が学歴や育成コースを通じて登用される人を指すのに対し、「たたき上げ」は実務と経験による成長を強調します。

どちらが優れているというより、それぞれ異なる価値観や強みをもつということですね。

◆現代社会での意味合いの変化

最近では、企業や組織において現場経験を重視する風潮も高まり、「たたき上げ」の人材が改めて注目されることもあります。実体験に基づいた判断力や、現場とのつながりを大切にする姿勢が評価される時代になってきました。

一方で、厳しすぎる上下関係や精神論的な教育スタイルへの反省もあり、「たたき上げ」そのものの印象も少しずつ柔らかくなってきているようです。

◆まとめ:磨かれてこその実力

「たたき上げ」という言葉には、苦労や実践を経て今の自分にたどりついたという自信と誇りが詰まっています。

目立たないところで地道に力をつけてきた人の歩みは、派手さこそなくても、見る人の心を打つものがあります。そうした背景を知ることで、この言葉への感じ方も少し変わってくるかもしれません。

次に誰かのことを「たたき上げだな」と感じたとき、その裏にある努力と時間に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。