「この曲いいね!ちょっと“さわり”だけ聞かせて?」
こんな会話、音楽好きの間ではよくありますよね。
でも、この「さわり」って、どの部分のことを指しているのでしょうか?
サビのこと? 最初のイントロ? それとも歌い出し?
実はこの言葉、音楽ではよく使われているのに、本来の意味とはちょっと違った解釈をされていることが多いんです。
「さわり」とはどこのこと?
現代では「さわり=曲の冒頭や一部を簡単に聞かせてほしい」という意味で使われることが多いと思います。
たとえば「この曲どう?さわりだけ聞いてみてよ」と言えば、
だいたいイントロ〜サビのあたりを再生するのが一般的ですよね。
ですが、「さわり」という言葉のもともとの意味は、実はちょっと違うんです。
本来の「さわり」の意味とは?
「さわり」というのは、もともと「浄瑠璃(じょうるり)」や「歌舞伎」などの伝統芸能で使われていた言葉です。
その中では、物語の核心や聞かせどころを「さわり」と呼んでいました。
つまり、「この曲のさわり」と言う場合、本来は
その作品の中で最も印象的で大事な部分
を指すのが正しい使い方なのです。
なぜ「冒頭の一部」の意味で使われるようになったの?
近年では、試聴やテレビ番組などで「曲のさわりを紹介します」と言って、イントロや数十秒の抜粋を流すことが多くなりました。
そこから、「さわり=ちょっとだけ・冒頭だけ」といった意味で広まり、言葉のニュアンスがずれてしまったようです。
もちろん、実際にサビが“さわり”であるケースもありますし、「いいところだけ聴かせて」という意図で使われるのは自然なこと。
ですが、本来は「曲の一番の聞かせどころ」を意味する言葉だった、という背景を知っておくと、ちょっと面白いですよね。
日常で使うときに気をつけたいこと
「さわり」という言葉が誤解されて使われているからといって、日常会話ですべてを正そうとする必要はありません。
でも、ちょっとした豆知識として覚えておくと、言葉に対する理解が深まって、話のネタにもなります。
とくに、文章やスピーチの中で「さわりだけ紹介します」と言う場合、 「少しだけ紹介します」という意味に聞こえてしまうので、
「冒頭部分だけ」や「一部を抜粋して」など、より伝わりやすい言葉に置き換えるのもひとつの方法です。
まとめ
- 「さわり」は本来、物語や曲の“聞かせどころ”や“核心部分”を指す言葉
- 現代では「冒頭の一部」「試聴」などの意味で使われがちだが、それは本来の使い方とは異なる
- 日常会話では定着していて問題ないが、意味の背景を知っておくとより深く使いこなせる
言葉って、知っているようで意外と知らないことも多いもの。
「さわり」の意味を知って、これからの会話にちょっと深みを添えてみませんか?