イースター島のシンボルともいえる巨大な石像、モアイ像。
「あんな重そうな石像を、昔の人たちはどうやって運んだの?」
誰もが一度は思うこの疑問、実は長年の研究の末に“驚くべき運搬方法”が解明されつつあるんです。
今回は、そんなモアイ像の「運ばれ方」に焦点を当て、専門家の説や実験映像をもとに、わかりやすくご紹介します。
■ モアイ像ってどんなもの?
モアイ像は、南太平洋の孤島「イースター島」に立ち並ぶ巨大な石像で、その数は800体以上。
多くの像は、高さ3〜4メートル、重さ10トン以上にもなります。
石材は島内の火山岩を使っており、遠くの石切場から海沿いの儀式場まで何キロも運ばれたことがわかっています。
でも…道具も車輪もない時代に、どうやってこんな巨体を動かしたのでしょうか?
■ 長年の謎:どうやって動かしたのか?
かつては、「木の丸太に寝かせて転がした」という説が有力でした。
でもこの方法には疑問も残ります。というのも、モアイ像は立った状態で設置されていることが多く、
横倒しで運ぶと、立て直す作業が大変すぎるのです。
そこで浮上したのが…
■ 「モアイは歩いた」説とは?
2012年、アメリカの研究チームが提唱したのが、通称「モアイが歩いた説」。
この説では、モアイ像を立てたまま、左右にゆらゆらと振りながら運ぶというもの。
実際にロープを3本使って左右から引っ張り、歩くように動かす実験が行われました。
「驚くことに、10人ほどのチームで3トンのモアイ像を1時間で100m近く動かすことができた」
この成果は大きく報道され、「まるで生きているようにモアイが歩いた」と話題になりました。
■ 地元の伝承とも一致
興味深いのは、イースター島の住民たちの間に伝わる言い伝えです。
そこでは古くから、
「モアイはマナ(神聖な力)で“歩いて”運ばれた」
と語られてきました。
科学的な実験と伝承が一致するという点も、この説をより信頼できるものにしています。
■ なぜそんな大変なことを?
「そんなに大きな像を、わざわざ苦労して運ぶ意味があったの?」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、モアイ像は祖先や神の象徴であり、部族の力を示すものでもありました。
大きく重い像を遠くまで運べること自体が、「自分たちの技術と団結力の証明」だったのです。
■ まとめ:謎の先にある、人間の知恵と工夫
モアイ像の運搬方法は、ただの「謎解き」ではありません。
むしろ、限られた資源と道具しかない中で、人間がどれだけ知恵を働かせ、工夫を重ねてきたかを教えてくれるストーリーです。
モアイ像が歩いたかどうか――その答えは、
きっとイースター島の静かな風景の中に、そっと残されているのかもしれません。